サラリーマンが副業で海外FX、年末調整の対応は?
公開日:2025.01.08
更新日:2025.01.08
12月になると、サラリーマンにとって年末調整の季節がやってきます。普段より多めに納めていた税金が戻ってくるため、給料が増えて嬉しく感じる人も多いでしょう。最近では副業が徐々に認められるようになり、副業として海外FXを始めるサラリーマンも増えてきました。
そこで、気になる海外FXの副収入がある場合の年末調整の手続きを確認してみましょう。
この記事の見出し
12月に行う年末調整
年末調整とは
サラリーマンの給与やボーナスには、会社が所得税などの税金や保険料をあらかじめ引いています。ただし、毎月引かれる所得税は概算で計算されているため、12月の年末調整で正確な金額が決まります。
年末調整は、1年間で本当に払うべき所得税の総額を計算し直し、既に引かれた金額との差額を調整する作業です。もし多く引かれていた場合、その分は12月の給与と一緒に戻ってきます。
実際には多く納めていた税金が返ってくるだけですが、普段より手取りが増えるので、うれしく感じる人も多いでしょう。
年末調整と確定申告
年末調整は、主に1つの会社からの給与に対する所得税を計算する手続きです。給与以外に収入がないサラリーマンは、年末調整だけで所得税が確定するため、確定申告は不要です。
一方、自営業者や個人事業主は年末調整ではなく、毎年2月から3月に行われる確定申告で1年間の所得を確定させ、それに応じた所得税を納めます。確定申告では、事業所得、不動産所得、雑所得など、あらゆる収入を合計した所得額から所得税を計算します。
サラリーマンでも、給与以外の収入が一定額を超えると確定申告が必要になります。
通常は年末調整だけで済みますが、副業などで追加の収入がある場合は注意が必要です。
年末調整だけでなく確定申告も必要なサラリーマンとは
サラリーマンの場合、給与以外の年間収入が20万円を超えると、年末調整に加えて確定申告が必要になります。一方、海外FXでの所得が20万円未満なら、年末調整のみで十分です。
確定申告の際には源泉徴収票が必要です。この書類は通常、12月の給与と一緒に渡されます。
源泉徴収票には、その年の1月から12月までの所得金額、差し引かれた税金の額、社会保険料などの総額が記載されています。源泉徴収票は重要な書類なので、必ず大切に保管しましょう。
12月より前に会社を退職した場合は、会社による年末調整が行われません。この場合、確定申告をしないと多く納めた所得税は戻ってきません。
退職時に会社から渡される源泉徴収票を使って、自分で確定申告を行う必要があります。
副業解禁!「原則自由」だけど注意する点
厚生労働省の方針転換
副業とは、サラリーマンが主な仕事以外で収入を得る活動のことです。日本では副業自体は禁止されていませんが、多くの企業が就業規則で副業を認めていませんでした。
しかし、労働力不足などを背景に、日本政府は2018年を「副業元年」と位置づけました。厚生労働省は2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、副業を「原則禁止」から「原則自由」に方針を変更しました。
この流れを受けて、海外FXを副業として始めたサラリーマンも増えてきました。しかし、サラリーマンが副業で海外FXを行う場合、いくつかの注意点があります。
次の項目から、これらの注意点を詳しく見ていきましょう。
住民税は自分で納付
副業が認められる傾向にあるとはいえ、海外FXをしていることを会社に知られたくない人も多いでしょう。本業がおろそかになっているのではないかと疑われる可能性があるからです。
自分から話さなくても、前年の所得を基に決まる住民税の額が急に増えると、副業の存在に気づかれる可能性があります。 この問題に対処するには、海外FXによる所得に関する住民税を自分で納付する方法があります。
確定申告の際に「住民税を自分で納付する」という欄にチェックを入れることで、海外FXの所得に対する住民税は自分で支払うことになります。 ただし、給与所得に関する住民税は従来通り給与から天引きされ、年末調整も行われます。
この方法を使えば、会社に副業の存在を悟られにくくなります。
本業に支障が出ないように
副業の海外FXに夢中になりすぎて、本業に悪影響が出てしまっては大問題です。海外FXを副業として適切に行うためには、事前に自分のルールを決めておくことが重要です。
具体的には、以下のような点を決めておくとよいでしょう。
- 取引に使える時間
- 目標とする利益額
- 損切りのライン
このようなルールを事前に設定しておくことで、取引に必要以上に時間を取られることを防ぎ、大きな損失のリスクも減らすことができます。
海外FXは副業であることを常に意識し、本業とのバランスを保つことが大切です。
確定申告に向けて
今から準備しておくもの
確定申告の手続きは、国税庁の専用ウェブサイト(e-Tax)や税務署の窓口で行います。しかし、その前に必要な書類を準備しておくことが重要です。
すぐに準備できるものには以下のようなものがあります。
- 各種の税金控除を受けるための生命保険証書
- ふるさと納税の証明書
- 必要経費の領収書
所得から必要経費を引いた金額を基に税率が決まります。そのため、控除できるものはしっかりと書類を揃え、できるだけ多くの控除を受けることで、税金を低く抑えられる可能性があります。早めに準備を始めて、漏れがないようにしましょう。
利益確定後に行うこと
2019年1月~12月の海外FXの利益が20万円を超えた場合、まず年間損益報告書の取得と税率の計算が必要です。損益計算書は、多くの海外FXブローカーで使用されているMetaTrader4(MT4)やMetaTrader5(MT5)という取引プラットフォームから入手できます。
海外FXの所得は雑所得に分類され、総合課税の対象となります。つまり、給与所得と海外FXの所得を合計し、必要経費を差し引いた金額に基づいて税金が計算されます。
項目 | 金額 |
---|---|
給与所得 | 500万円 |
海外FX利益 | 100万円 |
必要経費 | 30万円 |
この場合、課税対象額は以下のように計算されます。
500万円(給与所得)+ 100万円(海外FX利益)- 30万円(必要経費)= 570万円
570万円が課税対象額となり、これに税率を掛けて納税額が算出されます。 申告書は、確定申告の受付開始直前に国税庁のウェブサイトで作成できるようになります。事前に必要な情報を準備しておくと、スムーズに申告手続きを進められます。
確定申告を忘れると…
納税は国民の義務です。確定申告を怠ると、重いペナルティが課される可能性があります。
最近では、ある人気お笑い芸人の例が話題になりました。自身のマネジメント会社の確定申告を行わず、所得税だけでなく法人税なども未納だったことが明らかになり、多額の追徴課税を課されたのです。 さらに悪質なケースでは、逮捕される可能性もあります。
また、確定申告を怠ることで社会的な信用も失うことになります。 サラリーマンの方で確定申告が必要な場合は、忘れずに行うようにしましょう。
海外FXの副業収入がある場合も同様です。適切に申告を行うことで、法律を守り、安心して副業を続けることができます。
まとめ
海外FXは、取引方法によっては短期間で大きな利益を得られる可能性があります。例えば、12月の取引だけで20万円を超える利益を出すケースも十分に考えられます。
確定申告が必要になってから慌てて準備を始めるのではなく、必要な書類は前もって用意しておくことが大切です。特に注意が必要なのは、年末調整の際に渡される源泉徴収票です。これを紛失すると、会社に再発行を依頼する必要があり、手間と時間がかかってしまいます。
最も重要なのは、確実に確定申告を行い、適切に納税することです。これにより、法律を守りつつ、安心して海外FXの副業を続けることができます。
早めの準備と正確な申告で、トラブルのない副業生活を送りましょう。