【必要書類】海外FXの確定申告|税金や書類・スマホでのやり方も解説
公開日:2025.01.14
更新日:2025.01.14
海外FXの確定申告について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
海外FXで利益を得た場合、確定申告が必要になることがあります。
この記事の見出し
確定申告が必要な人
海外FXで利益を得た場合、以下に該当する方は確定申告が必要となります。
会社員の方
給与所得以外で年間収入が20万円を超える場合
自営業の方
年間所得が48万円以上になる場合
ここで重要なポイントは以下の通りです。
- 会社員の場合、給与所得以外の年間収入が基準となります。
つまり、海外FXの利益だけでなく、他の副業などの収入も合算した金額が20万円を超えるかどうかが判断基準となります。 - 自営業の場合、年間所得が基準となります。
これは海外FXの利益だけでなく、本業の自営業やその他の副業による所得も含めた合計金額です。 - 確定申告の対象となる「所得」は、経費を引いた実質利益を指します。
つまり、海外FXや副業で得た利益から、それらの活動に関連する経費を差し引いた金額が基準となります。 - 自営業の方は、事務所費や光熱費など、会社員よりも多くの経費を計上できる可能性があります。
確定申告の対象となる「課税所得」は、総所得から経費と所得控除を差し引いた金額です。
適切に経費や所得控除を申告することで、納税額を抑えられる可能性があります。
確定申告に必要な書類
海外FXの確定申告で必要な書類は以下の通りです。
- 年間取引報告書
- 経費に関する領収書
- 控除証明書類
- 源泉徴収票
- マイナンバーカード
確定申告の方法
確定申告はスマートフォンやパソコンを使って、e-Taxで簡単に行えます。
国税庁のウェブサイトにアクセスし、必要な情報を入力していくだけです。
具体的な手順は以下の通りです。
e-Taxでの確定申告手順
- 国税庁サイトにアクセス
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」をクリックします。 - 申告書の種類選択
「所得税」を選択し、申告書の作成年度を指定します。 - 提出方法と内容の選択
「e-Tax(マイナンバーカード方式)」を選択し、申告内容を指定します。海外FXの利益は「雑所得」に該当します。 - マイナポータルの設定
マイナポータルアプリをインストールし、マイナンバーカードを読み取って本人確認を行います。 - 収入情報の入力
海外FXの利益を「雑所得」として入力します。種目は「その他」を選択し「証拠金取引」と入力します。収入金額に海外FXの利益を、必要経費に海外FX関連の経費を入力します。 - その他の所得の入力
給与所得など、海外FX以外の所得がある場合はそれらも入力します。 - 所得控除の入力
社会保険料控除や生命保険料控除など、該当する所得控除を入力します。 - 住民税の支払い方法選択
住民税の徴収方法を「特別徴収」(給与天引き)か「自分で納付」から選択します。 - マイナンバーの入力
最後にマイナンバーを入力し、確認後に申告書を送信します。
ポイント
- 海外FXの利益は「雑所得」として申告します。
- 経費や所得控除を適切に申告することで、納税額を抑えられる可能性があります。
- 確定申告の義務を怠ると脱税になる可能性があるので、必ず適切に申告しましょう。
e-Taxでの確定申告は、初めは少し手間がかかりますが、2年目以降はスムーズに行えるようになります。
不安な点がある場合は、税理士に相談するのも良い選択肢です。
確定申告における注意点
脱税のリスク
確定申告の義務を怠ると脱税になる可能性があります。
海外の会社だからバレないと考えるのは危険です。
必ず適切に申告しましょう。
損益通算について
海外FXで確定申告する際には、同じ年度内に限り、海外FX以外の雑所得と損益通算ができます。
これは初心者の方にとっても重要なポイントです。
具体的な例を見てみましょう。
海外FXで取引しながら、同じく雑所得に分類される仮想通貨FXでも取引していたとします。
同一年度であれば、以下のような損益通算が可能です。
海外FXの損益 | 仮想通貨FXの損益 | 損益通算後 | 確定申告 |
---|---|---|---|
+100万円 | -100万円 | 0円 | 不要 |
-100万円 | +100万円 | 0円 | 不要 |
+100万円 | -20万円 | +80万円 | 必要 |
このように、同じ年度であれば、雑所得同士で利益・損失を相殺できます。
海外FX同士での相殺も可能です。
例えば、海外FXで利益100万円を出しても、仮想通貨FXで損失20万円があれば、課税所得は80万円になります。
これにより、節税効果が期待できます。
海外FXの確定申告をする前に、他の雑所得の損失がいくらあるかも確認しておくことをおすすめします。
これにより、より効果的な税金対策ができる可能性があります。
ただし、注意点として、前年以前の損失は繰り越せません。
海外FXでは、当年度の損益のみが確定申告の対象となります。
これは国内FXとの大きな違いの一つです。
損失繰越について
海外FXの確定申告では、前年以前の損失を繰り越すことができません。
具体的な例を見てみましょう。
年度 | 海外FXの損益 | 確定申告の対象 |
---|---|---|
前年 | 100万円の損失 | 対象外 |
今年 | 100万円の利益 | 100万円の利益が対象 |
上記の例では、今年の利益100万円のみが確定申告の対象となります。
前年の損失100万円は考慮されません。
これは国内FXとの大きな違いです。
国内FXでは最大3年間の損失繰越が可能ですが、海外FXではそれができません。
この特徴を踏まえた税金対策が重要になります。
例えば、12月末時点で含み損がある場合は、あえて決済して損失を確定させるという方法があります。
これにより、その年の利益と相殺できる可能性があります。
ただし、損失を意図的に出すことには注意が必要です。
取引の目的は利益を出すことであり、税金対策だけを目的とした取引は避けるべきです。
海外FXでの確定申告では、各年度の損益を個別に管理し、その年の利益に対して適切に申告することが大切です。
損失繰越ができないことを念頭に置いて、取引戦略を立てることをおすすめします。
ボーナスの扱い
海外FXで貰えるお得なボーナスは、通常、確定申告する必要がありません。
でも、そのボーナスを使って儲けたお金は申告しなければいけません。
この違いを忘れないようにしましょう。
例えば、100ドルのボーナスをもらって、それを使って150ドルに増やした場合、増えた50ドル分が申告の対象になります。
複数口座の取り扱い
複数の口座を使用している場合、すべての口座の損益を合算して申告する必要があります。
例えば、A社で10万円儲けて、B社で5万円損したら、合計で5万円の儲けとして申告しましょう。
節税のためのアドバイス
海外FXの確定申告で税金を少なくするための方法をいくつか紹介します。
1. 海外FX関連の経費をしっかり把握する
海外FXに関係する出費をきちんと記録しておくことが大切です。
これらの経費は所得から差し引くことができるので、税金を減らすのに役立ちます。
2. 所得控除を最大限活用する
所得控除とは、収入から差し引ける金額のことです。
例えば、医療費控除や寄付金控除などがあります。
これらをうまく使うことで、税金を抑えることができます。
3. 海外FX以外の雑所得と損益を相殺する
海外FX以外の雑所得(副業の収入など)で損失が出ている場合、海外FXの利益と相殺できることがあります。
これにより、全体の税金を減らせる可能性があります。
4. 取引手数料(経費)のかかるゼロ口座を使う
ゼロ口座とは、スプレッド(売値と買値の差)が0の口座のことです。
ただし、取引手数料がかかります。
この手数料は経費として計上できるので、税金を減らすのに役立ちます。
5. 年末に含み益を利益確定せず含み損だけ決済する
年末に含み益(まだ決済していない利益)はそのままにして、含み損(まだ決済していない損失)だけを決済することで、その年の利益を減らし、税金を抑えることができます。
6. 年末に両建てして一時的に確定利益を減らす
両建てとは、同じ通貨ペアで買いと売りの両方のポジションを持つことです。
これにより一時的に利益を減らし、その年の税金を抑えることができます。
ただし、両建ては取引コストが高くなる可能性があるので注意が必要です。
海外FXの税金計算方法
海外FXの確定申告における税金(所得税)は、以下のような手順で試算が可能です。
1. 課税所得額の計算
まず、確定申告の対象となる「課税所得」を計算します。
課税所得は、総所得から経費と所得控除を引いた金額です。
2. 税率の適用
課税所得額に応じた税率を掛けます。
海外FXの税金は累進課税方式で、所得が多くなるほど税率も高くなります。
3. 控除額の適用
課税所得額に応じた控除額を引きます。
以下に、具体的な計算例を示します。
サラリーマンの場合
計算の前提条件
- 給与所得:400万円
- 海外FXの利益:300万円
- 海外FXの経費:30万円
- 所得控除:150万円
課税所得の計算:
課税所得 = (給与所得 + 海外FX利益) – 経費 – 所得控除= (400万円 + 300万円) – 30万円 – 150万円 = 520万円
税率と控除額の適用:
520万円の課税所得に対する税率は20%、控除額は427,500円です。
所得税の計算:
所得税 = 520万円 × 20% – 427,500円 = 612,500円
ただし、給与所得からすでに源泉徴収されている所得税があるため、実際に納付する税金はこれより少なくなります。
個人事業主の場合
計算の前提条件
- 自営業の収入:400万円
- 自営業の経費:200万円
- 海外FXの利益:300万円
- 海外FXの経費:30万円
- 所得控除:150万円
課税所得の計算:
課税所得 = (自営業の収入 + 海外FX利益) – 経費総額 – 所得控除= (400万円 + 300万円) – 230万円 – 150万円 = 320万円
税率と控除額の適用:
320万円の課税所得に対する税率は10%、控除額は97,500円です。
所得税の計算:
所得税 = 320万円 × 10% – 97,500円 = 222,500円
これは自営業と海外FX両方を含めた所得税の総額となります。
海外FXの確定申告でよくある質問
-
「所得の生ずる場所(住所)または法人番号」の書き方は?
-
海外FX業者の所在地を省略して入力します。例えば、「Eden Island,Seychelles」などと入力します。
-
「報酬などの支払者の氏名・名称」の書き方は?
-
海外FX業者の正式な会社名を入力します。例えば、「Tradexfin Limited」などと入力します。
-
海外FXの取引履歴の見方は?
-
「Closed Trade P/L」が決済された注文の損益金額を表しており、この金額を年間利益として確定申告で記載します。
-
海外FXのボーナスは確定申告が必要ですか?
-
基本的に不要ですが、ボーナスを使って得た利益や、友達紹介ボーナス、ポイントを現金に換金した場合は確定申告が必要です。
-
海外FXでの前年のマイナス分を合算できますか?
-
いいえ、海外FXでは損失繰越はできず、当年度の損益だけが確定申告の対象となります。
-
海外FXで複数口座を使っている場合の確定申告は?
-
すべての口座を合算した損益が確定申告の対象となります。ただし、確定申告が必要なのは決済済みの注文のみです。
まとめ
海外FXでの確定申告は、初めての方にとっては少し複雑に感じるかもしれません。
しかし、手順を理解し、必要な書類を準備すれば、e-Taxを使って比較的簡単に行うことができます。
確定申告は法的義務であり、適切に行うことが重要です。
経費や所得控除を正確に把握することで、節税の機会も生まれます。
不安な点がある場合は、税理士に相談するのも良い選択肢です。
海外FXでの取引を楽しみつつ、確定申告も忘れずに行いましょう。
適切な申告を行うことで、安心してFX取引を続けることができます。