【損益通算】国内FXと海外FXを一緒に使うメリットは?トレードと税金の面でうまく使い分けよう
公開日:2025.01.14
更新日:2025.01.14
FXの世界では、国内と海外の両方のサービスを使っている人がたくさんいます。今はどちらか一方だけを使っている人も、将来的には両方試してみたいと思っている人も多いでしょう。
でも、国内FXと海外FXには大きな違いがあります。その違いを知らずに何となく使っているだけでは、せっかくのいいところを活かせないどころか、気づかないうちに損をしてしまうかもしれません。
ここでは、国内FXと海外FXを一緒に使うことについて、トレードと税金の面でのメリットとデメリットを明らかにし、より効果的に組み合わせる方法をお伝えします。
この記事は次のような方におすすめです。
- 国内FXと海外FXの違いを知りたい人
- トレードの面での一緒に使うメリットを知りたい人
- 税金の面での一緒に使うメリットを知りたい人
この記事の見出し
国内FXと海外FXの違いって?
国内FXと海外FXには、いくつかの重要な違いがあります。初心者の方にも分かりやすいように、主なポイントを以下の表にまとめました。
国内FX | 海外FX | |
---|---|---|
安全性 | 全て金融庁に登録 | 海外のライセンスを取得 |
レバレッジ | 最大25倍 | 倍率が無制限 |
スプレッド | 原則固定 | 原則変動 |
ボーナス | 基本ボーナスなし | 豊富なボーナスを提供 |
口座開設 | マイナンバー必須 | マイナンバー不要 |
取引プラットフォーム | 業者ごとの独自のプラットフォーム | 共通プラットフォーム(MT4/MT5) |
入出金 | 基本無料で処理もスムーズ | 入金手数料がかかる場合もある |
税制面 | 優遇措置あり | 優遇措置なし |
資金管理体制 | 信託保全が義務化 | 信託保全が義務化されていない |
国内FX業者の最大の強みは、安全性の高さです。全ての国内FX業者は日本の金融庁から認可を受けているため、悪質な業者や詐欺まがいの行為を心配する必要がありません。
また、信託保全が義務付けられているので、万が一業者が破産しても、ユーザーの資金は確実に守られます。
一方、海外FX業者の魅力は、使いやすさにあります。
取引プラットフォームは、主にMetaTrader4(MT4)やMetaTrader5(MT5)が使われているので、どの業者を選んでも慣れた道具でスムーズに操作できます。さらに、新しく口座を開設したり入金したりすると、多額のボーナスや現金がもらえることもあり、少ない元手で取引を始められる可能性があります。
国内FXと海外FXを上手に組み合わせるコツは、それぞれの良いところをうまく活用することです。安全性と使いやすさ、両方の利点を生かせば、より効果的なFX取引が可能になるでしょう。
編集部のコメント
多くの海外FX業者が採用しているMT4とMT5は、MetaQuotes社が開発した、業界で最も人気のある取引プラットフォームです。MT5はMT4の新しいバージョンで、まだ指標やEA(自動売買プログラム)の数は少ないものの、MT4よりも時間軸が増え、動作が速くなっています。
海外FXの大きな特徴は、取引プラットフォームがMT4かMT5で統一されていることです。スマートフォンで取引をする場合、このアプリをインストールしておけば、どの業者を使っても同じ操作感で取引ができるため、とても便利です。
初心者の方も、一度MT4やMT5の使い方を覚えれば、複数の海外FX業者を簡単に使い分けられるので、自分に合った業者を探しやすくなります。
国内FXと海外FXを一緒に使うメリット・デメリット
国内FXと海外FXを併用する際に、まず考えるべきは「トレード面」そして次に「税金面」でのメリットとデメリットです。
国内FXと海外FXを併用するメリット トレード面
国内FX業者と海外FX業者には、レバレッジやスプレッド、ボーナス制度などさまざまな違いがあります。トレード面では、それぞれの長所と短所を組み合わせることで、お互いの弱点を補い合うことができます。
- メリット1. 安定運用と大胆なトレード、両方できる
- メリット2. 取引コストを抑えることができる
- メリット3. 資産を分けて運用効率を向上できる
税金面
国内FX業者と海外FX業者で得た利益は、税金面では全く異なる扱いになります。そのため、2つを使い分けても、大きなメリットが得られるケースは少ないです。しかし、特定の条件下では節税対策になる場合もあります。
- メリット4. 節税対策になる
国内FXと海外FXを併用する際は、これらのメリットを理解し、自分の取引スタイルに合わせて効果的に活用することが重要です。次のセクションでは、これらのメリットについて詳しく説明していきます。
国内FXと海外FXを併用するデメリット
トレード面
トレード面では、国内FXと海外FXを一緒に使うことで、お互いの良いところと悪いところを補い合えるので、大きなデメリットはあまりありません。
しかし、口座が増えることで資金が分散されるという点は、少し不便かもしれません。資金が分散されると、1つの口座に入れられるお金が少なくなるので、一度にたくさんの取引をしたい場合には少し制限がかかる可能性があります。
ただし、分散投資を目的としている場合は、それほど問題にはならないでしょう。むしろ、資金を分けて運用することで、リスク管理がしやすくなるというメリットもあります。
初心者の方は、最初は1つの口座から始めて、徐々に経験を積んでから複数の口座を使うことを検討するのがおすすめです。このアプローチを取れば、資金管理も簡単で、取引の全体像も把握しやすくなります。
税金面
国内FX業者と海外FX業者を一緒に使う際に、税金面で特に注意すべきなのが、損益通算ができないという点です。
損益通算とは
損益通算とは、ある取引での利益を別の取引での損失で相殺して、課税額を減らせる仕組みです。
国内FX業者同士なら、この損益通算が適用されますが、国内FX業者と海外FX業者では、税金の区分が違うため適用されません。
例えば、A社で100万円の利益、B社で50万円の損失が出たとします。この場合、100万円-50万円=50万円が課税対象となり、大幅に税金を減らせます。
国内FXの損益通算
A社(国内FX) | B社(国内FX) | 課税対象 |
---|---|---|
100万円の利益 | 50万円の損失 | 50万円 |
しかし、A社が国内FX業者、B社が海外FX業者の場合、この損益通算が成り立たず、100万円の利益にそのまま税金がかかってしまいます。
国内FXと海外FXの損益通算
A社(国内FX) | B社(海外FX) | 課税対象 |
---|---|---|
100万円の利益 | 50万円の損失 | 100万円 |
このように、国内FX業者と海外FX業者を併用していると、気づかないうちに税金面でデメリットが生じる可能性があるので注意が必要です。
税金の計算は複雑なので、不安な場合は税理士に相談するのがおすすめです。
【トレード面】国内FXと海外FXを併用するメリット
トレード面で国内FXと海外FXを一緒に使うメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。どんなメリットがあり、効率よく利益を上げるにはどう併用すればいいのでしょうか。
メリット1. 安定運用と大胆なトレード、両方できる
FXでは、大きなリスクを取らずに安定した運用をしたい人も多いですが、相場の状況によっては思い切った取引をしたくなることもあります。
しかし、国内FXだけだと、以下のような制限があります。
- 最大レバレッジが25倍では物足りない
- FX口座に入金した以上の損失が出るリスクを考えて躊躇してしまう
このような場合、国内FXとは異なる特徴を持つ海外FX口座を併用することで、使い分けが可能になります。
- 国内FX:安定運用
- 海外FX:大きな利益を狙った大胆なトレード
これにより、全く異なる2つのトレードスタイルを、リスクを抑えながら両立させることができます。
ただし、海外FXでの大胆なトレードは、大きな損失につながる可能性もあるので、十分な知識と経験を積んでから行うようにしましょう。初心者の方は、まず国内FXで基本を学び、徐々に海外FXを取り入れていくのがおすすめです。
レバレッジの違いを活用
トレード面で最も大きな違いとなるのが、レバレッジの倍率です。
国内FX業者では2011年以降、より安全な取引ができるようにと、金融庁による規制でレバレッジに制限が加えられるようになりました。そのため、どの国内FX業者もレバレッジは最大25倍までしか設定することができません。
一方、海外FX業者にはそのような規制がないため、制限なしで100倍や1,000倍という遥かに高いレバレッジをかけることができます。
ここのポイント
レバレッジ無制限の口座がある?
海外FX業者の中には、Exness(エクスネス)やLand Prime(ランド プライム)のような特定の条件下で無制限レバレッジを提供しているブローカーも存在します。
レバレッジ無制限ともなると、小資金でも大きな取引ができたり証拠金維持率を気にせず取引することができます。
小資金から一気に利益を上げられる可能性がある一方、資金に見合わない高レバレッジで取引してしまうと、資金を一瞬で失ってしまう可能性もあるため取り扱いには注意が必要です。
そのため、大きな利益を上げるために大胆なトレードをしたい場合、ハイレバレッジを活用して、小さな元手資金で大きな資金を動かすことができる海外FX業者を選んだ方が、理にかなっているといえるでしょう。
但し、高いレバレッジをかけると、利益だけではなく損失も大きくなるという点には注意が必要です。
ゼロカットシステムの違いを活用
海外FX業者の多くは、ユーザーに負債が発生しないようにゼロカットシステムを採用しています。では、ユーザーに負債が発生するというのはどのような状態なのでしょうか。
FXでは、ポジションに含み損が出ると証拠金からマイナスして計算します。そして、そのマイナスによって証拠金が一定の割合を下回ると、それ以上の損失を出さないように強制決済されてしまう「ロスカット」というシステムがあります。
ロスカット自体は、むしろ負債を防ぐためのシステムなのですが、相場の変動が激し過ぎると機能が上手く働かず、ロスカットが入るタイミングがずれて、証拠金を上回る損失が発生してしまうことがあります。
ゼロカットシステムというのは、このようにして生じた負債をすべてFX業者側がカバーし、ユーザーに借金を背負わせないようにするためのシステムです。これは、ハイレバレッジでよりロスカットが発生しやすい海外FXだからこそ考えられた措置といえるでしょう。
海外FX | 国内FX |
---|---|
ゼロカットシステムあり | ゼロカットシステムなし |
ちなみに、国内FXでは同じような補償を行うと法律に違反してしまうため、どこも導入していません。海外FXでは入金額以上の負債を抱える心配がないので、よりアグレッシブな取引ができます。
ただし、ゼロカットシステムがあるからといって、過度に危険な取引をするのは避けましょう。常にリスク管理を意識することが大切です。
メリット2. 取引コストを抑えることができる
国内FX業者と海外FX業者では、それぞれの取引方式が異なり、それに伴いスプレッドも異なります。このスプレッドの違いを上手く活用することで、取引コストを削減できる可能性があります。
スプレッドの違いを活用
国内FX業者の多くは、DD(ディーリングデスク)方式による原則固定スプレッドを採用しています。DD方式とは、FX業者が投資家と金融機関の間に入って売買を行う方式のことです。この方式では、FX業者が価格を独自に決めることができます。
DD方式のメリットとデメリット
- メリット:より狭い固定スプレッドを提供できる
- デメリット:ユーザーにとって不利な操作が行われていない保証がなく、透明性が低い
国内FXと海外FXのスプレッドの特徴を理解し、自分の取引スタイルに合わせて使い分けることで、取引コストを効果的に抑えられる可能性があります。ただし、スプレッドだけでなく、取引の安全性や信頼性も考慮に入れて業者を選ぶことが大切です。
一方、海外FXでは、NDD(ノン・ディーリングデスク)方式による変動制スプレッドを採用している業者がほとんどです。この方式では、FX業者はあくまで仲介役に徹し、注文は機械的に処理されてインターバンクに発注されます。
- 注文が機械的に行われるため、市場価格がそのまま反映される
- スプレッドが変動しやすい
- FX業者による価格操作がないため、透明性が高い
NDD方式は透明性が高い反面、相場の急変時にスプレッドが大きく開く可能性があるので、取引の際は注意が必要です。
初心者の方は、まず固定スプレッドの国内FXで経験を積み、徐々に変動スプレッドの海外FXにも挑戦してみるのがおすすめです。
一般的に、スプレッドは国内FX業者では狭く、海外FX業者では広くなる傾向があると言われています。しかし、実際はもう少し複雑です。
Myforexのリアルタイムスプレッドを確認すると、以下のような傾向が見られます。
- 日本人がよく取引する通貨:国内FXのスプレッドの方が狭い傾向
- それ以外の通貨ペア:海外FXの方が有利な場合もある
また、海外FX業者の中には、メジャー通貨ペアでも国内FXと同等の狭いスプレッドを提供している業者もあります。つまり、必ずしも海外FXの方がスプレッドが広いとは限らないのです。
このような状況を活かして、銘柄ごとに国内FXと海外FXを使い分けることで、取引にかかるコストを削減できる可能性があります。 ただし、スプレッドだけでなく、取引の安全性や他の手数料なども考慮して総合的に判断することが重要です。
初心者の方は、まず少額で取引を始め、徐々に経験を積みながら自分に合った取引方法を見つけていくことをおすすめします。
メリット3. 資産を分けて運用効率を向上できる
3つ目のメリットは、資産の運用効率を向上させられる点です。取引資金を1つの口座にまとめるのではなく、海外FX口座と国内FX口座に分けて運用することで、以下のような利点があります。
- 海外FX特有のボーナスを最大限に活用できる
- 効率よく資金を運用できる
ただし、複数の口座を管理することは初心者にとっては難しい場合があります。まずは1つの口座で経験を積み、徐々に口座を増やしていくことをおすすめします。
資金を分散させることで、リスク管理もしやすくなります。例えば、海外FXでより高リスクな取引を行い、国内FXでは安定した運用を心がけるなど、戦略的に資金を配分することができます。
ボーナスを活用
海外FXの大きな特徴の1つが、魅力的なボーナス制度です。国内FXにはないこの特典は、以下のようなものがあります。
- 口座開設だけで1万円~2万円のボーナス
- 入金額に応じて100~200%のボーナス
- 現金(キャッシュバック)がもらえる場合もある
ボーナスを活用することで、実際の入金額以上に元手資金を増やすことができ、より大きな取引が可能になります。
各業者が提供するボーナスには、それぞれ上限額が設定されています。例えば、XMの2段階入金ボーナスの場合、ボーナス付与額の上限は10,500ドルです。
ある一定額をFX投資に回そうとしている場合、以下のような戦略が考えられます。
- 上限の10,500ドルが付与される金額までをXM口座に入金
- 最大限のボーナスを受け取る
- 残りの資金は国内FXで運用
このように国内FXと海外FXを併用することで、自分の投資額をより効率よく運用でき、取引スタイルに応じて使い分けることもできます。
ただし、ボーナスには利用条件や出金制限がある場合があるので、必ず詳細を確認してから活用しましょう。
初心者の方は、まずは少額から始めて、ボーナスの仕組みをよく理解してから活用することをおすすめします。
【税金面】国内FXと海外FXの併用について
トレード面の次に気になるのは、国内FXと海外FXを一緒に使った場合の税金面のメリットではないでしょうか。詳しい説明に入る前に、まずはそれぞれの税制の違いについて理解しておきましょう。
税金の仕組みは複雑で、間違えると思わぬ不利益を被る可能性があります。初心者の方は特に注意が必要です。
国内FXと海外FXの税金の違いを正しく理解することで、より効果的な資産運用の戦略を立てることができます。
国内FXと海外FXの税制について
税制の違い
国内FXと海外FXで得た利益は、どちらも税制上「雑所得」として扱われます。しかし、課税方法に大きな違いがあります。
国内FXの課税方法 国内FX業者で得た利益は、「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」に該当し、「申告分離課税」となります。これは他の所得とは別に課税される方式です。CFDや商品先物の利益も同様です。
申告分離課税の税率
- 所得税(15%)
- 住民税(5%)
- 復興特別所得税(0.315%)
- 合計:20.315%(所得額に関わらず一定)
海外FXの課税方法
海外FXの利益は他の所得と合わせた「総合課税」となり、通常の所得税の対象となります。
総合課税の税率
- 所得税(5〜45%)
- 住民税(所得額×10%)
- 復興特別所得税(所得税×2.1%)
海外FXの場合、所得税は累進課税制度が適用され、所得額に応じて税率が上がっていきます。
所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000〜194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万〜329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円〜 | 45% | 479万6,000円 |
これらの税制の違いを理解することは、効果的な資産運用戦略を立てる上で非常に重要です。特に初心者の方は、税金の仕組みをよく理解してから取引を始めることをおすすめします。
税金の計算例
国内FX業者と海外FX業者で同じ金額の利益が出た場合、税金にどれくらいの差が出るのか見てみましょう。
ここでは、課税所得500万円のサラリーマンを例にします。まず、給与所得のみの場合の税金を計算してみます。
給与所得のみの場合の税金計算
- 所得税:(500万円×20%)- 42万7,500円 = 57万2,500円
- 住民税:500万円×10% = 50万円
- 復興特別所得税:57万2,500円×2.1% = 12,022円
給与所得に対する全体の課税額:108万4,522円
この基本的な税金計算を踏まえて、次に国内FXと海外FXでそれぞれ利益が出た場合の税金の違いを見ていきます。
税金計算は複雑で、小さな誤りが大きな違いを生む可能性があります。特に初心者の方は、実際の申告の際には税理士や専門家に相談することをおすすめします。
【100万円の利益を出した場合】
国内FX業者のみで利益を出した場合
申告分離課税(国内FXの利益):100万円 × 20.315% = 20万3,150円
全体の課税額:108万4,522円 + 20万3,150円 = 128万7,672円
海外FX業者のみで100万円の利益を出した場合 全体の所得が600万円となり、所得税率20%、控除額42万7,500円となります。
- 所得税:(600万円 × 20%)- 42万7,500円 = 77万2,500円
- 住民税:600万円 × 10% = 60万円
- 復興特別所得税:77万2,500円 × 2.1% = 16,222円
全体の課税額:77万2,500円 + 60万円 + 16,222円 = 138万8,722円
このケースでは、国内FXのみで利益を出した時の方が、約10万円税金が安くなることが分かります。
税制が全く異なるため、一見、税金面では国内FXと海外FXを併用するメリットがあまりなさそうですが、節税対策になる場合もあります。
ただし、税金計算は個人の状況によって大きく変わる可能性があります。特に初心者の方は、実際の申告前に税理士や専門家に相談することをおすすめします。
メリット4. 節税対策になる
国内FXと海外FXの税制の違いをうまく組み合わせることで、特定の条件下では節税対策にも利用できます。その具体的な方法を紹介します。
年収のラインで切り替える
海外FXで得た利益は累進課税なので、所得額がある一定ラインよりも低いと、税率が国内FXの申告分離課税の税率(20.315%)を下回るケースもあります。そのラインとなるのが、年収329万9,000円です。
つまり、以下のような戦略が考えられます。
1. 年収と海外FXでの利益を合わせた金額が329万9,000円に近づいたら
2. そこから国内FXに切り替える
3. これにより、税金コストを軽減できる可能性がある
ただし、この戦略は個人の状況によって効果が異なります。また、税法の改正によって変更される可能性もあるので、常に最新の情報を確認することが重要です。
初心者の方は、まずは少額から始めて、徐々に経験を積みながら、このような税金対策を検討するのがよいでしょう。
繰越控除を活用する
国内FXの利益には、「繰越控除」という税制優遇措置が適用されます。これは、その年に生じた赤字分を翌年以降、最大3年間にわたって繰り越し通算できる制度です。
例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
年 | 損益 | 繰越控除後の課税対象 |
---|---|---|
1年目 | 100万円の赤字 | 0円(100万円繰越) |
2年目 | 50万円の利益 | 0円(50万円繰越) |
3年目 | 30万円の利益 | 0円(20万円繰越) |
4年目 | 20万円の利益 | 0円 |
このように、大きな損失が出た場合でも、その後の利益と相殺できるため、税金面でのメリットがあります。
もし国内FXで大きな損失が出てしまった場合には、少なくともその後3年間は海外FXを控えめにして、国内FXで取引を行っていくことで節税対策になります。
この方法を上手く活用することで、長期的な視点での資産運用が可能になります。
ここのポイント
法人口座なら海外FXでも繰越控除が適用される?
海外FXの法人口座では、最長10年間の損失繰越が認められています。法人口座の場合、FXの利益だけでなく、法人全体で赤字があった場合に利用できる「欠損金繰越控除」という制度を使って損失繰越ができます。
国内FXの個人口座とは違い、海外FXの個人口座では損失繰越が認められていませんでした。これが海外FXのデメリットでしたが、法人口座を作れば、海外FXでも損失繰越の制度を利用できます。
ただし、法人口座の開設には、会社の登記簿謄本など特定の書類の提出が必要です。そのため、誰でも簡単に開設できるわけではありません。法人を持っている場合は、この点も考慮に入れておくと良いでしょう。
国内FXと海外FXを併用する際の注意点
国内FX業者と海外FX業者を一緒に使う際には、常に所得と税率の関係に注意を払う必要があります。
国内FX業者で得た利益については税率が一定なので、どれだけ増えても気にする必要はありません。しかし、海外FX業者で得た利益はすべて通常の所得として扱われるため、あまり利益を上げすぎると、その影響で所得税率が高くなってしまう可能性があります。
例えば、所得が900万円を超えると、それまでの23%から税率が一気に33%まで上がってしまいます。すると、その後の収入はFXの利益だけではなく、ボーナスや臨時手当、退職金や利子にいたるまで、全てその税率で課税されることになってしまうのです。
このような不利益を避けるために、以下のような工夫が必要になることがあります。
- ポジションの決済を翌年に持ち越す
- 含み損のポジションをあえて決済してから再び購入する
これらの方法で所得額を調整していくことも重要です。
ただし、これらの戦略は個人の状況によって効果が異なり、また税法の改正によって変更される可能性もあります。常に最新の情報を確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
国内FXと海外FXの併用は、大きく分けてトレード面と税金面で考えることができます。 トレード面 トレード面では、国内FXと海外FXにはそれぞれメリットとデメリットがあります。
これらを上手く補い合うように併用すれば、より効率的に利益を上げていくことができるでしょう。
税金面 税金面では、国内FXと海外FXで課税の方式が全く異なります。思わぬ損をしないように、節税などで対応していく考えが重要になります。
国内FXと海外FXの違いをよく理解し、自分の状況に合わせて最適な方法を選択することが大切です。