海外FXの税金について理解しよう!所得計算・税額計算と節税方法
公開日:2024.12.16
更新日:2024.12.16
海外FXの税金について、初心者にも分かりやすく解説します。正しい理解は大切で、特に確定申告の必要性、税額計算の方法、適用される税率などの把握が重要です。
確定申告を怠ると、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性があります。
ここでは、国内FXと比較しながら、所得計算方法、課税方式、税率、そして節税方法について説明します。
この記事の見出し
海外FXで利益が出たら税金を払う必要がある
海外FXで得た利益は原則として所得税などの確定申告が必要
海外FXによる為替差益やスワップポイントは、課税の対象となる所得に含まれます。この所得には所得税と住民税が課されます。
所得税は個人の収入に対して国が課す税金で、住民税は地方自治体が課す税金です。住民税は、市町村民税と道府県民税を合わせた呼び名です。
利益が出た場合、基本的に確定申告が必要となります。確定申告とは、自分で所得と税額を計算し、税務署に申告書を提出することです。
通常、所得税と住民税は別々に申告する必要がありますが、所得税の確定申告書を出せば、そのデータが自動的に地方自治体に送られるので、住民税の申告書は別途提出する必要はありません。
なお、復興特別所得税という税金もありますが、これは所得税の申告書の中で一緒に計算されます。
確定申告の対象者は主に日本に住んでいる人
海外FXを行う場合、誰が確定申告をする必要があるのかを理解することが大切です。
基本的に、確定申告の対象となるのは「居住者」です。居住者とは、日本に住所がある人、または1年以上日本に住んでいる人のことを指します。
それ以外の人は「非居住者」と呼ばれます。簡単に言えば、ある程度の期間日本に住んでいる人が居住者で、外国に住んでいる人が非居住者です。
居住者は、所得があった場合に確定申告する必要があります。この時、その所得が日本国内で得たものか、海外で得たものかは関係ありません。どちらの場合も申告が必要となります。
確定申告の必要性は所得によって異なる
確定申告が必要かどうかは、その人の1年間の所得の種類や金額によって変わってきます。
海外FXの税金について正しく理解しましょう!
会社員などの給与所得者の場合、給料やボーナスへの課税は源泉徴収されるため、通常は確定申告は不要です。
ただし、給与所得に加えて海外FXの所得がある場合は、原則として確定申告が必要になります。しかし、少額不追及の例外規定があります。
具体的には、給与所得以外に海外FXで20万円を超える所得があった場合は確定申告が必要ですが、20万円以下であれば申告は不要です。
自営業などの給与所得者以外の場合、海外FXの所得とその他の所得の合計額が所得控除以下であれば確定申告の必要はありません。
所得控除が基礎控除だけで海外FXの所得しかない場合、年間所得金額が38万円以下なら申告は不要です。
海外FXと国内FXの税金計算方法の違いを把握しよう
海外FXの所得区分について
税金の計算をする際には、所得区分を正しく理解することが大切です。なぜなら、所得区分によって計算方法が異なるからです。
海外FXで得た収入は「公的年金等以外の雑所得」という区分に入ります。一方で、国内FXで得た収入は「先物取引にかかる雑所得等」という区分になります。
両方とも「雑所得」という言葉が使われていますが、税金の計算方法や税率が異なるので、混同しないように気をつけましょう。
特に注意が必要なのは以下の人たちです。
- 海外FXと国内FXの両方を行っている人
- 国内FXをやっていて、これから海外FXも始めようと考えている人
海外FXの課税方式は総合課税
海外FXで得た収入は、公的年金などを除いた雑所得として**総合課税**の対象となります。総合課税では、同じ課税方式が適用される所得をすべて合算し、それを「総所得」として計算します。
総合課税が適用される所得には、公的年金以外の雑所得だけでなく、給与所得や事業所得、不動産所得、さらには一時所得や公的年金等の雑所得なども含まれます。それぞれの所得には異なる計算方法があるため、まずは各区分ごとに所得金額を計算します。
その後、それらを合算したものが「総所得金額」と呼ばれます。
この総所得金額から、基礎控除や配偶者控除、社会保険料控除といった**所得控除**を差し引いたものが「課税総所得金額」となります。
一方で、国内FXで得た収入(先物取引にかかる雑所得等)は、他の所得と合算せず、一定の税率を適用して税額を計算する**分離課税方式**が採用されています。
海外FXの税率は超過累進税率
海外FXと国内FXでは、適用される税率が異なります。
海外FXの所得は他の所得と合わせて課税され、課税総所得金額に対して適用される所得税率は5~45%です。課税総所得金額が大きくなるほど、税率も上がる仕組みになっています。住民税は一律で10%です。
一方で、国内FXの所得に対する税率は、所得税が15%、住民税が5%です。復興特別所得税については、海外FX・国内FXの所得に対して共に2.1%が課税されます。
海外FXは損益通算や損失繰越控除ができない
海外FXをしていると、1年を通して損失が出ることもあるでしょう。損失に関する税法上の扱いは、海外FXと国内FXで異なります。
海外FXの損失は、他の所得と損益通算できません。損益通算とは、種類の違う所得同士で損と益を相殺することです。
また、海外FXでは、年間の損失を翌年以降に繰り越して、将来の海外FX所得と相殺する「損失繰越控除」も認められていません。
一方、国内FXの損失は、海外FXと同じく損益通算は認められていませんが、損失を繰り越して翌年以降3年間に発生する国内FX所得と相殺する損失繰越控除規定を適用できます。
海外FXの有効な節税方法とは?
節税方法1・必要経費の計上
海外FXで得た所得に対する税負担を減らす方法は主に2つあります。
1つ目はできるだけ多くの必要経費を計上することです。この方法は誰でも実践できるので、しっかり取り組んで節税することをお勧めします。
海外FXの所得は、為替差益とプラスのスワップポイントから必要経費を引いて計算します。そのため、必要経費の金額が大きいほど所得を圧縮でき、節税につながるメリットがあります。
必要経費として計上できる主なものには、以下のようなものがあります。
- 海外FXを学ぶためのセミナー参加料や交通費
- 購入した海外FX関連の書籍代や雑誌代
- パソコンや通信費(海外FX専用の場合)
パソコンや通信費については、海外FXだけに使用している場合に限り、必要経費として計上できる可能性があります。
節税方法2・海外移住で非居住者になる
2つ目の節税方法は海外に移住することです。誰でも簡単にできる方法ではありませんが、海外に1年以上住むと非居住者となり、日本での税負担をゼロにできます。
非居住者は住民税だけでなく、所得税の納税義務者でもなくなるため、節税につながります。ただし、移住先の国で課税される点に注意が必要です。移住先は税率が低い国を選ぶとよいでしょう。
おすすめの国としては、シンガポール、マレーシア、香港などがあります。
まとめ
海外FXには、数百倍のレバレッジを利用できることや、証拠金以上の損失が発生しないゼロカットシステムがあるなど、国内FXにはない魅力があります。
しかし、海外FX業者を選ぶ際は慎重さが必要です。国内FX業者は日本の金融庁が監督していますが、海外FX業者は金融庁の管轄外となります。そのため、どの国の金融ライセンスを取得しているかを確認することが重要です。
海外FXに関する情報を集めるには、情報が豊富なサイトである「FXPLUS」を活用することをおすすめします。
また、海外FXを始める際には、課税方法や確定申告について基本的な知識を持っておくことが必要です。一定の例外を除き、海外FXで所得が発生した場合は申告書の提出が求められますので、必ず確定申告を行いましょう。